「アロエッテの歌」の感想。
- 作者: 犬木加奈子
- 出版社/メーカー: グループ・ゼロ
- 発売日: 2013/03/14
- メディア: Kindle版
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ジャン・バルジャンがどんなに善行を積もうと「罪を犯した者は一生犯罪者なのだ!許されてはならないのだ!」という信念のもとに彼を許さないジャベール。
最後は宿敵ジャン・バルジャンに命を救われ、そんな現実を受け入れられずか自殺してしまうジャベール。
ジャン・バルジャンを見守りながら読んでいると、ジャベールは警官のくせに頭がおかしいんじゃないかと何度も思わずにはいられません。
罪を消すことはできない。更正などありえない。罪人は裁かれるべき!と信じて疑わず、
目の前の人物が社会に有益な人物であるかも判断できないジャベールは異常に嫌な人間に思われます。
しかし、ジャベールという登場人物はただの物語上の悪役ではありません。
自分にもジャベールのようなところがあるだろうと物語を通して指摘されているような気持ちになります。
他人を型にはめて見てしまう心の仕組みが君にもあるだろう!と。
それがとてもおそろしい。
「嫌なやつはどこまでも嫌なやつでいてくれないと困る。」
そういう心の作用が人にはあり、相手に嫌なやつであることを期待してしまう。
そんな心の作用にいつも自覚的でありたいです。
それにしても、小学生向けの「ああ、無情」って全然別の話に読めますよね。
なんであそこだけ切り取ったんじゃ!