先日の福岡取材の思い出です。
福岡県直方市にも行ってきました。
「ドグラ・マグラ」で呉一郎くんが母千世子と暮らしていた土地です。
今でもあの小説が一体何なのかよくわからないでいるのですが、
作品中に登場する地名へ実際に行ってみれば
何かわかるかもしれないというただそれだけの理由で
旅先を決めたのでした。
↑鉄橋を渡ると直方市石炭記念館がありました。
今回の取材旅行をしてみての感想を簡単にまとめると
「自分の無知を知れてよかった旅」。
実際に土地を訪れてみると「昔、こんなことがあったらしい」の真実味が増します。自分と旅先のあいだに弱々しくも何かしらの関係が結ばれてしまうみたいです。
筑豊炭田とは何か。
教科書でその単語を知っているだけでわたしは何もわかっていませんでした。
写真や映像を見て「石炭の産出地なのか~」「炭鉱で人がツルハシを使って掘っていたのか~。大変だなー」とかいう感想を得るとしましょう。
そのあと実際に土地を訪れて教科書にあるような資料や映像や解説を読むことになるわけですが、「石炭の産出地なのか~」「炭鉱で人がツルハシを使って掘っていたのか~大変だなー」という来訪前と同じ感想を口にしても、今度は自分の中での感心の質感がまったく変わっているのでした。
自分が立っているこの場所で、何が行われていたのか、どんな事故や問題が起きていたのか、誰がどこにどんな影響を与えたのか、どれくらいのスケールで物事が動いていたのか……。
自分の中でバラバラに浮遊している知識が弱々しい糸で繋がりはじめるのでした。知識が繋がりはじめたところでそれが何の役に立つのかはまだわからないままなのですが……。
歴史を学ぶこと、人類を知ること、ルーツを辿ること。
これから自分が皆のためにどうしたらいいのか考えること。
旅を通じた体験がやがてこのような課題に集約されていくわけですが、これからの課題は絶対的正解がありません。
課題を前にして、わたしは何もわかっていないということに打ちひしがれてしまいました。もっと勉強しなきゃ!とちょっと焦って直方をあとにしました。
だけど、そんなことをまっっっったく気にしなくても人は何の問題もなく生きていけるということも重要な事実ですね。