低徊趣味ぶろぐ

漫画家・嘉村朗のブログ

ゴキブリホイホイに何かしらの虫が罠にかかったら、なるべく早く捨てる。

わたし自身は虫を怖いとか気持ち悪いとか別段嫌がることはない。
拙速に処分するのは嫌悪感からではない。


罠にかかって身動きのとれなくなった虫が、
罠に近付いてきた別の虫に対して
「ここに立ち入ってはいかん。私のようになるぞ。」
と注意を呼びかけるような気がするからだ。


虫が罠のことを他の虫に教えてしまったら
罠にかかる虫がいなくなり、
われわれが罠を仕掛けた意味がなくなってしまう。


虫にも脳があり心臓がある。
血だってある。
不思議だ。

なんとなくだが、わたしは虫が自分と同じ生き物であるということを忘れかけることがある。
脚がちぎれても平気そうにしているし、
羽をもがれても簡単には死なない。
(いや、羽がもがれてから死ぬまでをわたしが見ていないだけで、
やっぱり完全体でない虫は生き延びるのに
他の虫より不利になって死んでしまうのかもしれない・・・)

紙やカサカサの木の枝や草の繊維で作られた、
生きてはいないが動けるへんなものみたいだ。


けれど、虫が机やノートのうえを横切っていくのを見かけるたびに、
虫が生きていることを思い出す。
ランダムな動きをするし、
ちょっかいを出すと警戒する。
たまに身体の手入れをしていることもある。

虫は生きている。
集団行動もするし。他の虫と交信していないはずがない。
われわれとは違った感覚で交信をしているのかもしれない。


今日、忘れ去られ、しばらく放置状態になっていたホイホイを見つけた。
かなり長いあいだ放置していたのに、
ゲジゲジが一匹かかっているだけだった。
やはり、このゲジゲジが他の虫に警告したのではないかと、、、わたしは思ったのだったまる。