低徊趣味ぶろぐ

漫画家・嘉村朗のブログ

物語とは何かを探るためのメモ4

全文書き取り中にとても同意したい箇所があったので引用させていただきます。

ソファーとは何かという確固としたイメージなしには優れたソファーを手に入れることは不可能なのだ。(「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」上巻 新潮文庫 P.78 L.16〜)

「ソファー」を「物語」に変換すれば、まさにわたしの抱えている問題そのものです。
「物語とは何か」という確固としたイメージが全然つかめないわたしには、
物語を書くことができないのです。oh no...

物語による快感とか、喜びとか、いったいどんな感覚なのでしょう????
もう少しでわかりそうなのに、確信が遠い。

わたしの家族は、
よくあるお話を自分風に書きかえてみればいいじゃんとかお気楽に言います。
ですが、よくあるお話の、「ストーリー自体がもっている魅力」というものを
わたしがまったく理解できないために、
お決まりの展開すら書くことができなくて困っているのです。

面白いと思えないものを魅力的に書けるわけないんですよ!
こんなコト言うと「つまらないものを面白おかしく書くのがプロだろーが!」と
叱ってくる人がいますが、
「つまらないものを面白おかしく書く」ことができるのは、
「物語」のもつ魅力自体を知っているうえに、ものを書く経験と技術があるからです。

わたしは「物語」とは何なのか、真に理解したい。
わたしだけの答えを持ちたい。


世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」にはこう書いてある。

良いソファーを買うにはそれなりの見識と経験と哲学が必要なのだ。

今までわたしは「物語」を無視しつづけていました。
関心のないものに見識と経験と哲学は生まれませんし蓄積されません。
ほかの人よりかなり出遅れていることとは思いますが、
今から必死にそれらを収集、分析し、
自分のなかに取り込むしかないのです。