小説「おもいでエマノン」に収録されている「とまどいマクトゥーヴ」の感想。
感想というよりここが好きだ!!と言いたいだけなのですが…
- 作者: 梶尾真治
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2013/12/06
- メディア: 文庫
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※以下ネタバレ
生命誕生からの全記憶を有する少女エマノンと
異常な肉体の再生能力となんでも「わかって」しまう特殊体質をもつ神月潮一郎。
神月はエマノンに会うなり告げる。
「僕の名は神月潮一郎。きみと結婚することになるはずの男さ。よろしく」
……。
神月の傲慢で極端で人類を見下したところは
非常に不愉快で腹立たしいです。
自らに”運命づけられたもの”(マクトゥーヴ)を全うするため
人類に尽くそうと大企業の総帥になり人工都市を作りあげ権力を集約していった神月。
やり方も考え方も極端で強引で人間味に欠けるのですが
なんだか可哀想に感じられてきてしまう不思議。
こういうだめ〜〜〜な男が好きなんだよな!!わたしは!!/(^o^)\oh no
だって、神月が神月なりに考えて人類のために一生懸命やっているというのが
余裕たっぷりで怖いものなどないような態度のなかに
チラチラ見え隠れしているように感じるんですよね。
そんなふうに読み進めて最後、
ほんとうはエマノンも、神月を好きだったにちがいないのだ。しかし、進化の先端に常に居続けねばならないエマノンには、神月と結ばれることが許されなかった。それがエマノンのマクトゥーヴ。神月が死んだとき、はじめてエマノンは神月を本能的に嫌悪しなければならないという呪縛から解き放たれたのだ。
うぎゃ〜〜〜〜〜ーーーーーー!!!!!!!!
「本能的に嫌悪しなければならない」ああ、そうよ。それよ。
エマノンわかるよ!!!!その感じわかるよーーーー!!!と
神月を看取りそのままひとりで砂漠を歩くエマノンに
空から呼びかけたくてしかたのないわたしでした。。。
べつにわたしは好きなのに「本能的に嫌悪しなければならない」恋愛をしていたわけでもないのですが
この小説を読んでエマノンの体験を追っていると
なんだかわかるような気がしちゃったんですよね…!!
その「好きなのに嫌悪している」感じと
「本能的に嫌悪しなければならなかった」どうにもできない感じが。。。
短編なのに!!!
この感想を書くために読み返していたら
2人の人間関係が切なすぎて涙出てきました。
好きなのに好きになれない、なってはいけない理由のある関係。
自分は何のために生まれてきたのだろうという問い。
人類の知性とは…
人とは……
読み終えたあとに思い巡らし考えることの多い物語でした。
とてもすきな物語です。