- 作者: 金谷治
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1998/04/16
- メディア: 文庫
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この章では中庸を実現すること、実行し続けることがいかに難しいかが繰り返し書かれています。
その文はどれも「子曰く、」で始まります。「先生(孔子)はこう言われました。」というと如何にも孔子がこの世のすべてを知り尽くし悟り尽くしているかのようにも聞こえてしまいます。(少なくとも嘉村はいままでそう思っていました。)しかし、今回本書を読んでいくとどうもそうでないような気がしてきました。
子曰、道其不行矣夫
(訳:先生は[嘆いて]いわれた、「人としての正しい道はなんとまあ世間で実行されないことよ」)
ここの部分を読むと、孔子自身も含めて中庸が大事だとわかっているのに思うように実行されないことがもどかしいと説いているのではないかとわたしは思うのです。何故かというと、中庸を孔子ひとりがわかっていて完璧にその道を守り続けていくとしてもこの世界は「中」と「和」の状態を達し得ないからです。
わたしはこの部分が好きですし、なんだかもうちょっと頑張ろう…という気持ちになれます。
「いくら頑張っても理想の状態には全然たどり着くことができないものですね(溜息)、、、それでも私はやめたりしませんが。」という態度に見えるんですよ!!わたしには!!
われわれは万事万物の「中」「和」達成をひたすらに目指すしかないのです。それが人としての正しい道を作っていくことなのではないでしょうか。本書を読んでそう感じたのでした。