こんにちは、嘉村 朗です。
今日は大人になったタバコガを放しました。
過保護に育ったから外に出しても全然飛んでいかないかもしれない……と、蛾との別れの様子を前日の夜からカレとあれこれ想像しながら話していました。
木の多い場所で容器の蓋を空けました。
最初のうちはジッとしていましたが、外の空気を感じたのか蛾はジッとしたまま小刻みに翅を震わせはじめました。
よく見ないとわからないくらい静かな動きでした。
その翅を震わせている様子はまるでアイドリング中というかんじで、だんだん翅の振動幅は大きくなっていきました。
それにつれて触覚が前方へピンと立ち上がり、胸もパンパンに膨らみ足でしっかり踏ん張る体勢になりました。
いよいよエンジンが掛かったぞ!と思った瞬間……
タバコガは素早く低空飛行で飛び去っていきました。
「あんなに速く飛べるんだ!」と感動しました。
妖精のように木々の間を素早くジグザグに飛び抜けていきました。
蛾だって、初めて飛び立つときは自分のペースで飛んでいくんだ……と知りました。
翅のまわりの筋肉をほぐすように少しずつ、翅を震わせて調子が出るまで準備していました。焦らずに用意ができるまでジッとそこにとどまって飛ぶことだけに集中しているようでした。
わたしが蛾だったら、「見られていると落ち着かないから放っておいてください」と慌てて容器から転がり落ちてちょこちょこ飛び跳ねていたかもしれません。
最後までこの虫には学ぶところが多かったなあと思います。