低徊趣味ぶろぐ

漫画家・嘉村朗のブログ

気にいっているセリフを不採用にすること

ネームを考えているときに気がついたことをメモ。

***

セリフやモノローグを思いつくままに書き出しているときに、大変お気に入りの言い回しができることがあります。自分の感覚にしっくりくるフレーズや考えの言葉は気持ちがいいものです。

しかしそのせいでセリフやモノローグを不採用にするまでに時間がかかることに気が付きました。

 

いくら作者の感覚にピッタリなセリフでも、

キャラの性格や作中の状況にピッタリな言い回しでないときは不採用にすべきです。

 

語呂やリズムがよかったり、自分の心に響く言葉は気に入ってしまうほど要注意だと思いました。自分の気分や嗜好に合致したセリフや言い回しを「これが自分の描きたいものだ!」と錯覚してしまうおそれもあると思いました。

 

f:id:low-k:20211012162156j:plain

↑セリフはいつも流れの中でキャラがキャラの言葉で放つものであって欲しい。

 

わたしの場合、セリフや言葉が「描きたいもの」になることはありません。わたしにとって、言葉単体はメッセージを伝達するための道具のようなものです。単語やフレーズ自体に力(パワー)はなく、文脈と共に存在するものです。ですから言葉単体に価値があるように扱いたくないと考えるのです。*1

 

物語の先を考えるのに手が止まるときはセリフが間違っているからかもしれません。消去するのが惜しいときは別の紙に書いて残しておこうと思いました。そうすればわたしの気にいっている言葉自体はこの世からなくなるわけではないのでひとまず安心できます。

*1:だから小中学生の頃はことわざや四字熟語を覚えるのが大嫌いだったのかもしれません笑。偉人の言葉や座右の銘というものを理解できなかったのも、このような思想からきた反抗心だったのかもしれませんね。