低徊趣味ぶろぐ

漫画家・嘉村朗のブログ

悪いことをしたらやめればいい

できていない自分ばかりを見て責めたり錯乱したりしてしまう。

 

わたしは自分のことをもっとたくさんのことが出来る人間だと思っていた。

 

毎日よくやれたことがたくさんあるのにそれらを少しも評価せず、「今日もあれができなかった」「これができなかった」と自分を責めて落ち込んでしまう。

漫画ももっとサラサラ描けると思っていたし、いくらでもお話を広げていける!楽しい展開にしていける!と思っていたけれど、描けば描くほど一作に掛ける時間が長くなっていった。

今ではすっかり一本を描きあげる自信もなくなった。

それでもあきらめないでじりじり描き進めている。わたしが他の漫画家か読者だったら甘ったれたクソ人間だ!やってるふりだけしている鬱陶しい人間で最低だ!となじると思う。

こういう自分の人間性がわたしのみっともなさの正体であり、それのせいで「ひとからこう思われたらどうしよう」という不安が生まれてくるのだ。

他人に優しくない部分、邪悪な部分が全部自分にそのまま跳ね返ってきて自分の首を締めていく。

 

そのような邪悪で汚く陰湿な自分の感情や心の動きに気がついた瞬間に、「それを認め」てすぐに「止(や)める」しか対処の方法はない気がする。

自分の邪悪さを認めるというのは、邪悪な感情をなかったことにしたり、ごまかしたりしないこと。これが俗に言う「自分を受け入れる」だと思った。

 

このときに「わたしはひどい人間だ!」と感情的に責めて自分をいじめたくない。自分を責めることで何者かに赦しを乞うポーズをとっては意味がない。

 

「自分が他人に対して嫌なことをしてしまったうえで、いま、それをちゃんと止めた事実」

 

それが自分を救う方法のような気がした。

自力で「悪いことをやめたんだ」という瞬間を作ることが、自分の心を強くしてくれるかもしれない。

他人に優しくなれる近道になるかもしれない。

これはまだわたしの仮説だけど、悪いことや暗いこと、楽しくないことをしてしまったら、すぐにやめられる人になりたいと思う。