たくさんの小さな白い花をつける木がありました。
よくわからないでしょう?
実際に見てもよくわからないのです。
細身の幹と枝に葉っぱと花が鈴なりの木なのですが、ごちゃごちゃしてよくわからんのです。
しかも背が高いので大抵の人は気がつかずに通りすぎると思います。わたしもこの木の存在に気が付きませんでした。
何故、この木の花に気がついたかというと、
ぽろぽろと落ちた花が地面を覆い尽くしていたからです。
枝になっている時よりも散ってからのほうが人の目に付き、綺麗だと感じさせるなんて、
死んだ後に世間に評価される芸術家とか小説家みたいでしんみりした気持ちになりました。
お前は宮沢賢治かよ。っていう…
この木の名前も知らないけれど、こんな木があることを知っているだけでいいのだと思います。
どこに何が”ある”のか、感じて、受け取るだけで、いいのだと思います。