わたしの一番古い記憶について振り返ってみたときに思い浮かんだのは
母の子守唄でした。
わたしは母の子守唄が正直好きではありませんでした。
なぜかというと、とても暗くて寂しいメロディをゆっくりつぶやくように歌うので
幼いわたしにはただのホラー演出でしかありませんでした。
「いやだ!こわい!」と嫌がっているのに
母はわたしが歌を怖がっていることに気がついていないのか、
さっさと寝つかせるために子守唄を止めませんでした。
わたしは寝るのが嫌いな子供だったので
天井にぶら下がっている照明の明かりをいつまでも見つめていました…。