低徊趣味ぶろぐ

漫画家・嘉村朗のブログ

悪意がかけない

わたしの漫画には「悪意」がないというか
出来る限り邪悪な部分を削いで描くようにしてきました。。

でもそれが仇となっているというか、
読む人になんとなく物足りなさを感じさせているのか
うそ臭さを感じさせているのか…
とにかく読み手の心を多少でも傷つけるような部分がないというのが
欠点になってしまっているようなのです…。
(それが本当かどうかはわからないのですが…)

だから次は邪悪さをもったモノを作ったらいいのだろうかと
安直に思ったのです。
でも、BLOGOSの内田先生の記事を読んでいたら、
「暗い気持ちでいる人間が下す判断は必ず間違ったものになる」
とあって、ちょっと思いとどまったのでした。。


人は誰でも邪悪な部分があるはずです。
でもそれは見せびらかすものじゃないし、
出来るだけ人の眼に触れないように気をつけなきゃいけないものだと思うのです。
誰にでもそういう心があるのだから、
自分が傷ついたときくらいは甘えてもいいじゃないかとか
錯覚を起こさせたくない。
(少なくともわたし自身は、あらゆる物語作品からそういう誤読をしてきてしまったような気がする。。。)

だけど、「人」というものを作ろうとしたら、描こうとしたら、
素敵なところも、気持ち悪いところも、
ありのまますべてを受け入れるようにその姿や考え方をなぞっていかなきゃ
いけないような気もするのです。


「邪悪さ」をどう描けばいいのか。

わたしにはまだ、わからない。