低徊趣味ぶろぐ

漫画家・嘉村朗のブログ

この世には見慣れぬものの方が多い

動物園に行ってよかったことは、見慣れぬたくさんの動物を目にすることができたことです。

頭は鷲で身体は肉付きのよいサギ、脚は鶴のようにすらっと長い鳥がいました。
「どうして頭は鷲なのに、脚がこんなに長いんだ!!!!おかしいだろっ!!!!」
とその鳥を前にしたときは、
細部をじろじろみつめながらしばらく頭が混乱していました。
しかし、わたしがその鳥をおかしいと感じてしまうのは
ただその鳥を見慣れていないだけだからだと思いました。

鷲の頭には短い脚があるのが当然だとわたしが勝手に思い込んでいるだけでした。

バクの食事風景も意外でした。
緑の葉っぱを直径1センチはある枝ごとバリバリと食べていました。
「まるで枝切り鋏じゃ!」と我々ははしゃぎ、
ゴミ収集車に巻き込まれていく伐採された枝が
ばきばきに折れ曲がりながら吸い込まれていく様子を思い浮かべました。

すべての草食動物がキリンのようにやわらかい葉っぱだけをエレガントに食べるわけではないのです。

そうして我々は、
「我々が芋けんぴをあんなふうに食べたら口に刺さってたまらんわー」
とか言いながら次々動物を見て回りました。
人間と比べたところで、身体の構造が全然違うのですから
真似したり競ったりすることはないのですが・・・笑


わたしの感覚ではありえないバランスで造形された動物や植物が
当然のように生きていることを目の当たりにして、
わたしはうれしかった。

わたしの創作がもっと自由になれるような気がして。
「そんなものいるわけないだろが!」と言われそうなものが
なんの違和感もなく存在しているこの喜び。

へんてこりんがこの世界の大部分を占めている現実。

「は?何言ってんの?」と言われることを恐れることなどないと、
宇宙が証明して見せてくれているように思います。