低徊趣味ぶろぐ

漫画家・嘉村朗のブログ

面白いお話を作るということ

面白いお話を作ることについて考えている。気がついたことをメモしておこう。

 

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作者の一番汚く醜い部分を描くというのは、簡単じゃない。

でもそれを描かないとお話は面白くない。

 

自分の一番汚い部分を描くってつまり、私は死ぬに値する人間なんだよというメッセージになりかねない。

存在する価値がないと知ることだ。

自分の有害性、存在自体が害悪、自己否定を極めるということでもある。

自己嫌悪を感じて落ち込む程度では不十分。闇落ちのポーズだけとるのでなく、本当に闇の中へひとりで行って自分自身の最低最悪の姿を直視したのちに、絶望という土産を携えてこちら側まで帰ってきたかを試されている。

 

最低最悪で生きる価値なんかひとつもない存在の、このわたしが、

「それでも希望を持っていいんだ。」

「生きていていいんだ。」

という理屈(や理由)を見出すのが物語なんだと思う。

 

 

無意味な状態に意味を与えるのが物語で、

「意味があるのかも…」と感じさせることが希望。

 

それを他者に伝わるように語れるのがストーリーテラー